2018年5月13日日曜日

八幡浜でのタイヤ選択の考え方

【八幡浜でのタイヤ選択の考え方。】
今回の八幡浜はひさびさのガッツリと降った雨の中での開催となりました。タイヤ選択の悩んだ選手も多かったのではないでしょうか?
参考までに僕が関わった3選手のタイヤは以下の通りです。
山本幸平(エリート男子優勝)
プロトカーボンミディアム+アーデントレース2.2 http://www.maxxis.jp/model/ARDENT-RACE/
山田ヨシキ(エリート男子19位)
カーボンファット+アイコン2.2
積田レン(U23完走)
アルミファット+ミトス2.1
http://www.irc-tire.com/ja/bc/products/mtbxc/mythosxc_tlr/
確かにコース上の一番泥のつらいセクションだけを見ればマッドタイヤを入れたくなるかもしれませんが、レースは順位を争うものであり、乗車率を競う物ではありません。
推定タイム一周15分と想定して6周で1時間30分がトップのゴールタイム推定タイム。そして雨の為にバラつく事を想像すると完走ギリギリの選手のゴールタイムが1時間45分でもおかしくないと判断しました。通常の1時間30分ではなく重たい路面を踏む事になるので通常よりも体力の消耗は間違いなく激しくなると予想。
今回は路面が全体的に柔らかい割にはシャバシャバで泥詰まりに悩まされることはないと言う事は間違いないと判断。こうなってくるとノブの高さ=柔らかい地面に刺さってしまい、柔らかい路面はコース上全ての箇所で選手の体力を奪います。走った選手はフィードゾーン前後のグラウンドの砂が晴れていればスピードが乗るセクションが鬼のように重たかったのではないでしょうか?
晴れていれば90分を持つ足がある選手も重たい路面+マッドタイヤであれば足も80分ぐらいで売り切れになってしまいます。マッドタイヤを履いて乗車率をあげても残り15分~20分が足が売り切れた状態に陥ればロスする時間は30秒どころではないはずです。
優先したのはノブの低さ(レース後半に柔らかい路面でタイヤが刺さらない事での漕ぎの軽さ優先)とエアーボリューム。エアーボリュームがあれば根っこセクションでバイクが弾かれた(滑った状態)でも挙動が穏やかになるために対応する時間を稼げます。
マッドセクションに関しては割り切って安全に下る事、登りは押すと割り切った状態で走ろう。乗車率は悪くなってもトータルでは絶対に早く走れる。
こんな風に選手に言い聞かせてマッドタイヤの選択肢を外した状態で選手を送り出しました。正直な所で内心ドキドキでしたが、山田ヨシキ選手の好走や積田レン選手のレース後の感想から判断は間違っていなかったと思います。
最終的な選択をするのが選手ですがメカニック(コーチ)はそれを使った際に想定されるメリット(とデメリット)を想像してあげることだと思います。選手以上に選手のバイク(機材とセッティング)の事を考えてあげられるメカニックが僕が考える理想のメカニックだと思います。
一つの考え方の引き出しにしていただければと思います。
来週は王滝、再来週は富士見とまだまだレースは続きます。会場ではいつも沢山の方から声をかけていただき本当にありがとうございます。
PAXPROJECT 木村喜久

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